トップメッセージ
安全で快適な都市を創造する
それがアーバネットグループです。
当連結会計年度における世界経済は、米国トランプ政権が掲げる「米国第一主義」のもと、関税政策や製造業生産拠点の国内回帰政策などが実行され、各国経済は一定の減速を余儀なくされました。一方で、主要各国におけるインフレ抑制を意識した減税や金融を含めた政策的下支えもあり、世界的な景気後退には至らず、今後も緩やかな成長回復路線が続く見込みです。しかし、関税の価格転嫁による物価上昇や、ウクライナ戦争、中東紛争など不確定要素が多く存在することから、経済全体の先行きには不透明感が残ると考えられます。
我が国では、賃金上昇やインバウンド消費の押上げが続き、企業収益も高水準を維持していることから、緩やかな景気回復基調は続く見込みです。ただし、米国の対日関税政策の影響は避けられず、建設業をはじめとした人手不足による供給制約も存在するため、経済全体が減速するリスクがあります。そのため金融面では、当局による利上げのハードルは高く、追加利上げは当初想定より後ろ倒しになると考えられます。
このような国内外の情勢の中で、当社グループの主たる事業領域である首都圏の不動産事業は、便利で快適な生活へのニーズから都心への人口流入が続いており、金利が徐々に上昇しているものの、全体的には堅調を維持しています。
当社の基軸事業である都市型賃貸マンション事業では、都心の分譲マンション価格の高騰を受け、家賃水準が上昇したこともあり、国内外のファンドやリート等からの当社物件への需要は強く、販売は引き続き好調です。一方、開発面では建設資材や人件費の高騰、工期の長期化により工事原価が上昇し、利益率は低下しつつあります。また、都心の好立地マンション用地の獲得競争が過熱している中、当社は用地購入要員の増員や人的資本への投資により、土地の仕入れに対応しています。
さらに、東京・蒲田駅前のホテル事業は、インバウンドの増加により客室稼働率と客室単価が改善し、増収増益となっています。また、2024年2月に完全子会社化した株式会社ケーナインは、主に東京23区内でのテラスハウス分譲及びアパート開発事業が好調で、当社グループの業績に大きく貢献しています。
これらの状況を踏まえ、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高339億33百万円(前期比21.3%増)、営業利益34億81百万円(前期比27.7%増)、経常利益27億87百万円(前期比14.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益18億50百万円(前期比8.8%増)となり、いずれの数値も期初の業績予想を上回りました。
株主還元については、好調な業績と株主への利益還元の観点等を総合的に検討した結果、期末配当を当初予想の1株当たり11円から12円へ増配することを決定し、中間配当と合わせて年間22円といたしました。また、2024年12月末より株主優待制度を導入し、500株以上ご所有の株主さまには年2回(12月末、6月末)クオカードを贈呈しております。今後も業績成長と株主への利益還元を重視してまいります。
なお、2026年6月期の業績予想は、売上高370億円、営業利益36億円、経常利益28億円、当期純利益19億円を見込んでおります。すでに都市型賃貸マンション等の販売計画552戸のうち525戸が契約済みであり、予想数値の達成に取り組んでまいります。
当社グループは2025年5月13日に中期経営計画「CHALLENGE 2028」を発表しました。最終年度の2028年6月期には売上高500億円、営業利益45億円を目標に掲げています。今期はその初年度であり、持続的な成長に向けた重要なステップと位置づけています。具体的には、(1)都市型賃貸マンション事業の強化、(2)ケーナインの戸建・テラスハウス事業拡大、(3)ホテル・ソリューション事業の推進を柱とし、グループ一丸となって目標達成に取り組んでまいります。加えて、「人」への投資は、将来の収益力を生み出す源泉であり、働きやすい職場環境整備と人財育成に引き続き注力してまいります。
当社グループは、今後も持続的な成長と企業価値向上に努めてまいります。株主の皆様には、変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2025年9月
経営指針