第16回 学生立体アートコンペ「AAC2016」 審査結果


「アートのあるライフスタイル」の提案とともに、若手アーティストの発掘・支援・育成を目指して実施している
学生限定立体アートコンペ「ART MEETS ARCHITECTURE COMPETITION(AAC)」の最終審査会を、
2016年10月18日、東京都台東区の「蔵前Ⅱプロジェクト(ステージファースト蔵前Ⅱアジールコート)」で開催いたしました。
今回で16回目を迎える本コンペは、同年5月から7月までの約3ヶ月間、全国の美術を学ぶ学生から作品を募集。
62点のハイレベルな作品が集まった一次審査会で選出された3名が、展示場所となる「蔵前Ⅱプロジェクト
(ステージファースト蔵前Ⅱアジールコート)」のエントランスホールに、実制作した作品を1点ずつ仮設置して
プレゼンテーションを行いました。
厳正な審査の結果、以下のように受賞作品が決定いたしましたのでご紹介します。

最優秀賞

 

「GEMME」
古川 千夏(ふるかわ ちなつ)
広島市立大学 大学院 芸術学研究科<博士前期課程>
造形芸術専攻 造形計画研究 金属造形研究室
材料:七宝、銅、銀線、銀箔、ステンレス 

■古川 千夏さんのコメント
この度は最優秀賞という素晴らしい賞をいただき、感謝申し上げます。
公共の場に合う、七宝で大きな作品というチャレンジをさせていただき、貴重な経験になりました。
自分の表現が評価してもらえたことは本当に嬉しく、自信につながりました。
この経験は今後の制作にも大きく影響すると思います。
これからも研究、制作をして、七宝の可能性を追求していきたいと思います。
本当にありがとうございました。

                                                       




優秀賞


「Corona」
中尾 俊祐(なかお しゅんすけ)
和歌山大学 システム工学部 デザイン情報学科 4年  
材料:ステンレス 

■ 中尾 俊祐さんのコメント

オブジェ製作に関しては初めてのことで素材について、加工の方法、
固定の仕方を学びながらの取り組みで、 周りの人の協力があったおかげで
何とか自分のイメージ通りの作品が完成できました。

発表時には他の方の作った作品を間近で見ることが出来て、

次に作るときは製作過程を変えてもっといいものを作りたいという新しい刺激になりました。

実際に作品を作らせてもらえたこの経験は今後のデザイン活動のなかで
とても意義のあるものになったと思います。ありがとうございました。










「朝の輝き」
堀田 光彦(ほった みつひこ)
東京藝術大学 大学院
美術研究科工芸専攻 鋳金研究分野 1年
材料:ブロンズ

■堀田 光彦さんのコメント

この度は、作品を制作する機会を頂き誠に有難うございます。
昨年は入選で実制作をする事ができず悔しい思いをしたので、
今回制作させて頂けた事とても感謝しています。
 限られた時間の中で、マンションのエントランスと言う公共の場に相応しい作品を作るという事は、
これまで経験した事がなくとても良い勉強になりました。
今回の経験を糧にこれからも制作を続けていきたいと思います。ありがとうございました。
                                                                                             

プレゼンテーション・審査風景

   

 
                                                           

AAC2016総評

■秋元 雄史 / 東京藝術大学大学美術館館長・教授/金沢21世紀美術館館長

今回、最終審査に残った3名の方の実際の作品を拝見しました。三人三様で、使う素材も、
制作のアプローチも違っていて、バラエティーに富んでいました。
古川さんは、七宝焼きという本来はあまり大きな作品には向かない技法ですが、
それを頑張って大型の立体作品として制作してくれました。
七宝らしい大変繊細な仕事をなさっており、一方でスケール感をもって制作をしていただいて、
マンションのエントランスという多くの人たちが行きかうパブリックなスペースにマッチした形に
仕上げていただいた作品です。
日本人にとっては馴染みやすい菊の花をモチーフとして、色彩豊かに制作してくれました。

中尾さんは、システム工学を専攻されている方なので、実制作から入るというよりも、プラン、
理論が先行したかたちでの制作でした。CADを使って図面設計をして、造形しています。
素材や技法から入っていない、理論や理屈から制作に入っている面白さがあり、そこで改めて
素材や技法と出会い、それをどう自分のものにしていくかといった取り組みだったように思います。
少し空想的な感じが残っているところが私はいいと思いまして、大変面白い作品でした。

堀田さんの作品は、伝統的な造形技法であるブロンズの鋳造で制作されています。
オーソドックスなスタイルで、ともするとアカデミックな印象ばかりが目立つ技法になる恐れがあります。
モダンなマンションのエントランスにも物によりますが不向きな場合も出てくるでしょう。
そういう意味で、チャレンジングな試みでした。
また、モチーフについてですが、装飾性ということを全面に出して、朝顔の蔓と花を文様化して
処理しているのですが、それがうまく行っていると思いました。ブロンズ彫刻の中で改めて装飾性や
デザイン性に着目した面白い作品でした。


最終審査結果発表
表彰式・授賞式 懇親会