AAC2016 最終審査に挑む3作品を発表!


株式会社アーバネットコーポレーションは、2016年5月2日から7月7日まで
「ART MEETS ARCHITECTURE COMPETITION(AAC)2016」として、
「(仮)蔵前Ⅱプロジェクト」のエントランスホールに展示する立体アート作品を
 全国の美術を学ぶ学生から募集いたしました。
一次審査を7月20日に開催し、1点1点厳正なる審査のもと、
最終審査にすすむ入賞3作品、ならびに入選9作品が決定いたしましたのでご紹介します。

≪入賞≫ ※応募順


「GEMME」

    古川 千夏 
   広島市立大学 大学院 芸術学研究科(博士前期課程)
   造形芸術専攻 造形計画研究 金属造形研究室
   素材:七宝、銅、銀線、銀箔、ステンレス 想定重量 : 10kg
   サ イ ズ : 横500×高さ500×奥行500(mm)

  【入賞者コメント】

  この度は入賞作品に選んでいただき、
  誠にありがとうございます。
  以前から作ってみたいと思っていた作品だったので、
  実制作の機会をいただき、本当に嬉しいです。
  これから理想の作品ができるよう、
  制作に励んでいきます。

 

                                                              
・コンセプト

モチーフとしている菊の模様は、高貴なイメージもありますが、愛情や真実、信頼などの意味もあり、昔から親しまれている模様の一つ
でもあるので、人が行き交う公共の場としてふさわしいと思い、モチーフに選びました。

今作は有線七宝技法を用いて制作しますが、一般的な有線七宝技法とは異なる工程で、研磨をなくし、銀線を突出させる、という表現方法で
制作します。銀線、銀箔、釉薬がそれぞれ違った輝きを放ち、見る角度や光の加減によって、作品の表情も変化してみえます。

宝石のように輝きを放ち、人と人が繋がりをもつことで、生活に輝きが増すように、という思いを込めました。



「Corona」

中尾 俊祐
国立大学法人 和歌山大学
システム工学部 デザイン情報学科 4年
素材:ステンレス  想定重量:5kg
サ イ ズ : 横230×高さ1150×奥行230(mm)
  【入賞者コメント】

  入賞作品に選出していただき、ありがとうございます。
  実際に自分のデザインしたものが作られる経験を
  させていただける貴重な場なので、これを糧に
  学生としての能力をひとつ上に押し上げられるよう
  取り組みたいと思います。
 安全で且つ壊れにくいオブジェを作るという難しさと、
 提案作品が持つシャープさと曲線の審美性を
 どのように実現するかという難しさをクリアして
 いけるように頑張りたいと思います。

 

・コンセプト
マンションエントランスの役割として「出迎え」の役割と「見送り」の役割が重要であると考えました。
帰ってくるマンションの住人に癒しを与えることを「柔」、これから出かける住人へモチベーションを
あげる活力を与えることを「剛」ととらえ「柔と剛」のオブジェクトを表現しました。
メタリック調のスプライン曲線は太陽の周りに見えるコロナをあらわしています。
コロナの2つの特性、普段は見ることができないが日食などの超自然的条件下でのみ美しい姿を現すという神秘性、
産まれ元の太陽表面の温度の400倍の高熱を放つ力強さという点から今回のオブジェのモチーフとしてふさわしいと感じました。



「朝の輝き」

堀田  光彦
東京藝術大学 大学院 美術研究科工芸専攻 鋳金研究分野
素材:ブロンズ   想定重量:30kg
サ イ ズ : 横1200 ×高さ1200×奥行300(mm)
  【入賞者コメント】

 この度は入賞及び実制作の機会を頂き
 誠にありがとうございます。
 エントランスというパブリックな空間と、
 マンションを行き来する方々を心に留めながら
 制作します。
 作品からふと何かを感じて頂き、日々の生活が
 より豊かになって頂けるよう励みたいと思います。

・コンセプト

コンセプト…台東区に設置されるという事で、台東区の花である朝顔をモチーフに選んだ。
朝顔は江戸時代に御徒町や入谷で広く栽培され庶民に親しまれてきた花である。
台東区では7月に朝顔まつりが開かれ今も人々に親しまれている。また朝顔にはどこか懐かしさを想わせる美しさがある。
朝顔の花言葉は「愛情」や「固い絆」「はかない恋」などであり、私はこの花とその花言葉をモチーフとしたこの作品を通して、
マンションに住む人達の心を癒したいと思っている。丸く円を描く葉や蔓は人々の繋がりや絆を表し、
花の青色には気持ちを落ち着かせる効果があると言われている。
ここに住むであろう若い住居者の方の気持ちに寄り添えるような作品にしたいと思っている。

ポイント…この作品はブロンズの鋳造によって自らの手で全ての制作をする。
ブロンズという素材はパブリックアートでも多く使用されており耐久力が強く安全面でも安心することができる。



≪入選≫ ※応募順

「code:」


「夏の月」

平田 万葉
京都市立芸術大学 大学院 陶磁器専攻
素材:陶・木・ビニールテープ
想定重量:8kg
サイズ:横500×高さ2000×奥行250(mm)

 李 小江
 東京藝術大学 大学院 美術研究科 彫刻専攻
 素材:石・金箔
 想定重量: 50kg
 サイズ:横500×高さ500×奥行250 (mm)

   【審査員コメント】

「もしこの作品が自分の住むマンションの一角にあったら」。
そう想像すると、日々この前を通るのが楽しくなるような気がします。
2次元の世界の記号的形態が、日常空間の中に唐突に
現れることで生まれる異質さによって、「これは一体何だろう?」
と人の足を止めさせ、しばし想像力を働かせる時間をもたらす
可能性を持っています。

懸念点である物理的な強度や存在感、また作品自体の
コンセプトをより強化することができ、かつこうしたユーモアと
柔らかさを内包する作品が実現できれば、ぜひまた観てみたい
と思いました。
(望月 かおる)                                                 


【審査員コメント】

有機的でユニークな形態、素材の石と金箔で表現される月が
印象的な作品です。作品コンセプトによると、夜になると一人で
月を眺めるのが習慣で、月の満ち欠けのことを考えるという
作者が、月その物を物体として表さず、周囲のかたちが
作りだす空間、物質と空間との想定的な関係の中に月の存在を
見せようとした作品で、興味深いです。

この作品が置かれる場、広いマンションのエントランスという
空間に設置されたときのイメージもあると、より説得力があった
ように思います。作品を構想するときに、その作品が設置される場、
空間全体のことを意識して考えるということも大切ですね。

過去の作品を見ると、制作の技術も高く、力のある作家だと
思います。今後も、石の表現の可能性に挑んでください。
(内田 真由美)                                                                       


「moment」


「構造の表象」

洞山 舞
多摩美術大学 美術学部 彫刻専攻 4年
素材:ブロンズ
想定重量:45kg
サイズ:横300×高さ1600×奥行300 (mm)

 後藤
 東京藝術大学 大学院 美術研究科 先端藝術表現専攻
 素材:鉄・ステンレスワイヤー
 想定重量:25 kg
 サイズ:横570×高さ1700×奥行50 (mm)


【審査員コメント】 
縦に伸びた円環であり、造形的にはシンプルで美しい形態をもった
作品であるが、抽象彫刻では比較的多くこれまでも作られてきた
形態であるので、第一印象で少し損をしているかもしれない。
一目見た時の作品の印象は大事なだけに、もう少し工夫をしても
いいかもしれない。ただ、部分を見ると短い鉄片が丁寧に規則
正しく結び付けられており、面白いかたちで連結されている。
添付してあったこれまでの作品も基本的な形態の繰り返しと
増殖により、新たな形態を生み出すという方法で制作しており、
このあたりの造形感覚には、優れた現代性を感じる。
ディテールの増殖というアイデアがもう少しストレートに出ていても
良かったかもしれない。
(秋元 雄史)                                          


【審査員コメント】
2014年、2015年に続き、三年目の2016年も入選している。
3年連続という実績から理解できる通り、力をもった作家
である。提出されたプランに掲載のこれまでの作品を見ても、
丁寧で繊細な造形がなされている。独特の緊張感漂う形態は、
例えば遺伝子配列や二重らせんなどの配列構造を想起させる、
生物的な気配をもつもので、単なる幾何学的な抽象形態では
ない。それが果たしてどのようなものを基にしているのか、
あるいは、まったくの独創なのか、興味をそそられる。
今回の提案では、高さが2m近い作品プランを出した。
審査員からは、プランの形態からは仕上がりが想像しがたい、
あるいは、パブリックな場所に置く形態としては生理的な形態
過ぎるのではないかという意見が聞かれた点が惜しい。
(秋元 雄史)                                       

 

「Moon River」


「Lamination」

 金 俊来
京都市立芸術大学 大学院 工芸学部 漆工専攻
素材:漆
想定重量:20 kg
サイズ:横1000×高さ1000×奥行150 (mm))

   亀永 百恵
   富山市立富山ガラス造形研究所 造形科 2年
 素材:ガラス
 想定重量:20 kg
 サイズ:横500×高さ500×奥行500 (mm)



【審査員コメント】
シンプルで美しいフォルムが目を引きます。
素材が漆であり、説明によると、乾漆技法と変わり塗りを利用した
制作で、その独特の色調や深みのある色味、作品が醸し出す
空気感や表情も楽しみな作品です。
家という休息の空間を月というテーマで表現し、「ムーン・リバー」の
曲からもアイデアを得て、三日月の中側に川が静かに流れている
様子を表現したという発想もおもしろいと思いました。
過去の作品からも、確かな技術で、作品を制作し続けている姿が
浮かびます。
作者は、前回「AAC2015」の優秀賞を受賞されています。
受賞を励みに、前回に続けてのチャンレンジの意欲も嬉しいですね。
漆を用いての新たな表現、今後の作品制作も期待しています。
(内田 真由美)               


【審査員コメント】               

光によって様々に表情を変えるガラスを使い、それを重層的な
立体作品に仕上げるというプランは力作になる予感がします。
外側は一色だけれど、上から覗くと色の違うガラスの層が
渦巻き状になった断面が見えるというのも、万華鏡を見るような、
あるいは焼き物の器を楽しむような歓びがあるように思います。

ただ今回の設置場所だと、「上から覗いたときの景色」という
本品の見せ場を生かしにくいのではと思いました。普段は
このエントランスを足早に通り過ぎるであろう住民たちの行動や
心理を想像し、見せ方にもう少し工夫する余地があるかと
思いました。
(望月 かおる)

                               
 
 

「sonya」


「Easy Art」

 李 旭
武蔵野美術大学 大学院 造形研究科 
修士課程 美術専攻 彫刻コース 1年
素材:アルミ、FRP
想定重量:30 kg
サイズ:横415×高さ1200×奥行415 (mm)

      三隅 幸
  筑波大学 芸術専門学群 構成専攻 3年
     素材:陶土
     想定重量:20 kg
     サイズ:横950×高さ950×奥行200 (mm)



【審査員コメント】
2015年の昨年も入選している力のある作家である。プランから
連想される作品の形態やスケール感が場所にあっていて、
ちょうどいい。白を貴重にしたエントランス空間に温かみを与え
、いい対比効果を生み出している。赤茶色の円錐形の頂上に
ブルーグレーの球体が乗っている。造形処理はシンプルだが、
フリーハンドで描いたような伸びやかさがあり、なにか物語の
ある場面を想像させる、ちょっと懐かしい雰囲気をもった作品
である。プランに添付されていたこれまでの作品も完成度が高く、
今後を期待したい。
(秋元 雄史)
                                   


【審査員コメント】  
住まいのエントランスという、日常にもっとも近い場所で
出会う美術作品に、生活に美を感じることを促すという
コンセプトを設定したのは共感がもてます。
しかも本物のタオルを用いて、そのテクスチャーを生かす
と言う作品は、地味ながらも見るたび新たな発見を
もたらすかもしれません。

ただタオル地の表面と陶土から生まれる美が、
どれくらいの永続性や力強さをもって見る人に届くのか、
やや疑問が残りました。素材の再考や、鑑賞者=生活者の
目線に立ったアプローチなど、さらなるプランの検討が
必要かと思いました。
(望月 かおる)                                                         

     
 「暮らしのうつわ」    
 グループ名:Misumi/Iwane
岩根 美樹

筑波大学 芸術専門学群 構成専攻 3年
三隅 幸
筑波大学 芸術専門学群 構成専攻 3年
素材:陶土
想定重量:60 kg
サイズ:横800×高さ600×奥行400 (mm)
   
     
 【審査員コメント】

マンションのエントランスという場の特性を考え、日々の
暮らしの“うつわ”を、たくさんの人々やその家族、それぞれの
物語が日々行き交う場所で、住人の生活に寄り添い、共に
歴史を刻むものとして存在できればという作品のコンセプトに
心惹かれました。

白土に白化粧による焼成で、作品のイメージ画の曲線も美しく、
エントランスに設置したときの空間との調和もよいだろうと想像
しましたが、実際に作品をイメージのように仕上げられるだろうか
という意見も出ました。完成イメージがシンプルで検討中という
部分もあり、作品の実現性、制作後の様子が伝わり辛いという
面もありました。さまざまな経験を重ねて、陶土による制作、
うつわの表現を深めていただきたいと思います。
(内田 真由美)




   
           

 
応募について
                                   
62作品(2015年:56作品)
応募者数:57名(2015年:55名)  
23.3歳(最年少19歳・最年長37歳)
 

 

 



一次審査について


募集 マンションの共用空間に展示するための立体アート作品
設置場所 「(仮)蔵前Ⅱプロジェクト」マンションのエントランスホール(東京都台東区)
分野 立体アート(彫刻、レリーフ等も含む立体作品)
材質 石・鉄・FRP等、長期展示に耐えうる素材
形状 展示場所にアンカー等で固定できる形状(居住者にとって安全で、且つ壊れにくいことが必須条件)
作品サイズ 展示スペースに収まる寸法で、重量約100kg以下
展示スペース 壁付け:幅1200×高さ2300×奥行き300(単位:mm)
                台座置き:幅1200×高さ1200×奥行600(単位:mm)
補助金 第一次審査を通過した優秀賞入賞者には、それぞれ「20万円」を支給(搬出入費・遠方の方の宿泊費等は別途支給)

・氏名、性別、学校、受賞歴などのプロフィールについて、完全に伏せた上での審査
・判断材料はA4サイズのプレゼンシート2枚
プレゼンシート1:スケッチ・マケット写真など
プレゼンシート2:タイトル、素材、サイズ、重量、コンセプト、イメージに近い既存作品や過去の自分の作品写真
秋元 雄史 (東京藝術大学大学美術館館長・教授/金沢21世紀美術館館長)
望月 かおる (月刊『美術手帖』副編集長)
内田 真由美 (アート・コーディネーター)
服部 信治 (主催会社 代表取締役社長)