AAC2014 最終審査に挑む3作品を発表!


 株式会社アーバネットコーポレーションは、2014年4月22日から6月30日まで「ART MEETS ARCHITECTURE COMPETITION(AAC)2014」として、「(仮)新御徒町Ⅱプロジェクト」のエントランスホールに展示する立体アート作品を、全国の美術を学ぶ学生から募集いたしました。
一次審査を7月14日に開催し、1点1点厳正なる審査のもと、最終審査にすすむ入賞3作品、ならびに入選7作品が決定いたしましたのでご紹介します。

≪入賞≫ ※応募順

「見つめる」

 穴井 麻美
多摩美術大学大学院 美術研究科 工芸専攻
素材:ガラス    想定重量:50kg
サイズ:横幅1800× 高さ1300 × 奥行450(mm)
台座サイズ:600mm
・入賞者コメント

この度は賞を頂くことができ、大変光栄です。
実際の建物に設置する作品を企画し作成することは初めてなので、とても楽しみであると同時に少し不安でもあります。
ガラスの反射する特性を生かし、居住者の方がガラスに映る自身の姿や変化する景色を面白いと感じて頂けるよう形や技法を工夫して制作していきます。
自分の作品が居住者の方の側にいつでも寄り添う存在になれるよう、願いを込めながら制作に励みます。

・コンセプト
居住者が毎日行き交う空間であるエントランス。
ガラスという素材は透明であるため、その空間に溶け込みます。
ガラスは透明であり、周りから認知されにくい素材ですが、反射をすること、ガラスの歪みによって景色が変化して見えることで、そこにあると認識できます。
周りの景色が映ることによって存在していることが分かるのです。
居住者の方が映る自身の姿、変化する景色を面白いと感じて頂ければと思います。
人の姿やエントランスの景色を映し出す作品は、時間が経っても周りを映し続け、居住者を見つめています。

「UNTITLED」

 井田 大介
 東京藝術大学大学院 美術研究科 彫刻専攻

 素材:パネルに塗装、エポキシ樹脂、顔料  想定重量:50kg
 作品サイズ: 横幅1850× 高さ1850 × 奥行800(mm)  
 台座高さ : 0mm
・入賞者コメント

この度は入賞、実制作の機会を頂き誠にありがとうございます。
作品を制作するにあたって、プレッシャーや不安など多々ありますが、プランを形にするために全力で取り組みたいと思います。
住居者の方が心地良く過ごせるための、一つの装置として機能することを願っています。

・コンセプト

展示場所がエントランスホールということで、私的空間と社会との境界と考えその空間にいい意味での違和感を与えることを考えました。
モチーフは大衆的に玄関に飾られる花(ラン)を選び、常識ではありえない大きさにし、パーツをずらすことにより、空間的違和感を、花の表面に顔料(石の粉)をまぶすことにより、
枯れない花という意味で時間的違和感をあたえて、エントランスホールでのONとOFFを切り替える装置として機能すればと考えます。


「フォトンの日々」

 グループ名:進藤・山崎・前原・横田
 進藤    篤    東京藝術大学大学院 美術研究科 デザイン専攻 
 山崎 明史    日本大学 芸術学研究科 造形芸術専攻 
 前原 良平    日本大学 生産工学部 創生デザイン学科 3年
 横田 安紀    日本大学 生産工学部 創生デザイン学科 4年        
 素材: スーパーボール(ゴム)、アクリル、ステンレス  想定重量:20kg
 サイズ:横幅2400×高さ1100×奥行800(mm)
 台座高さ:1200mm
・入賞者コメント

この度は実制作の機会を頂き、誠にありがとうございます。
マンションで生活し、日々を過ごしてゆく方達が、鮮やかな光の粒に包まれる作品を制作します。
空間全体が彩られるように、制作に励みたいと思います。

 

・コンセプト

 「色とりどりの鮮やかな光の粒に、ふと目が覚める。
  重なりあう光は、時の積層か、生の積層か。
  小さな輝きに、わたしがうつり、あなたがうつる。
  きょうもおかえり。
  あしたもいってらっしゃい。」

ある人はここに住み続け、ある人は旅立ち、またある人が新しい暮らしを始める。
人と人との重なり、時間と場所との重なりが、これから先、ずっと続いてゆく場所。そんなこの場所に、時と人との重なりの中で、鮮やかに輝き続ける作品を設置します。
多くの人が個々で暮らす場所だからこそ、共通の「象徴的イメージ」があってもいいのではないか。
それがこの場所からのメッセージであり、作品を通して代読すべき事なのではないかと感じました。
このマンションに住んでいるからこそ感じる事のできる輝きと、時の重なりを、空間の中に、マンションの中に埋め込んだ空間作品です。


≪入選≫ ※応募順

「源生」


「夜 」

 橋本 知成
 金沢美術工芸大学大学院 博士後期課程美術工芸研究科 
 素材:陶       想定重量:80kg
 サイズ:横幅400×高さ2200×奥行400(mm)
 台座の高さ:0mm
   後藤 宙
 東京藝術大学 美術学部 デザイン科 3年
 素材:ガラス(鏡)、ナイロン糸等    想定重量:50kg
 サイズ:横幅2400×高さ1100×奥行800(mm)
 台座の高さ:1200mm

   【審査員コメント】
   手が土をつかみ、積み上げていくことで出来上がったごつごつした形。
   それらのパーツを焼成し、ボルトでジョイントしているので、垂直性が強調され、あたかも塔のようでもある。
   身体の動きに導かれて、自然に形成された形という印象を与える。
   それゆえに、安定感があり、設置イメージを見ても、想定された空間にしっくりと収まりそうな気がする。
   だが、一方でそうした収まりの良さは、どこかで見たことのあるような既視感を去来させなくもない。
   もっと大胆に枠を乗り越えていくような、個性の表出があっても良さそうにも思うのである。
    (塩田 純一)

【審査員コメント】
マンションのエントランスに日常空間とはまったく異なるもうひとつの世界があるというコンセプトは魅力的だと思います。
一方で、壁の目前まで近づいてスリットから中を覗かないといけないという、作品アプローチまでのハードルの高さが難点だと思いまし  た。
設置当初は珍しがられると思いますが、月日とともに住人に顧みられないものになってしまいそう。
設置場所と鑑賞の対象者との時間手も含めた関係をもう少し考慮したかった。
(岩渕 貞哉)                                           

「HI☆BU☆SE」


「parts and parts」

 辻 蔵人
 武蔵野美術大学大学院 造形研究科 美術専攻
素材:鉄、プラスチック  想定重量:20kg
サイズ:横幅2400×高さ1600×奥行き800(mm)
台座高さ:600mm

  合掌 楓
 成安造形大学 芸術学部 芸術学科 現代アートコース 研究生
 素材:検査鏡(ガラス、銅)  想定重量:60kg
 サイズ:横幅2000×高さ2400×奥行き800(mm)
 台座高さ:300mm               

【審査員コメント】
モノトーンの現代的なエントランス空間に、古典的な図柄である「鯉」を配置するという意外性ある発想に心惹かれた。
「鯉」というモチーフが、実際にマンションが建てられる地域の歴史に深く関わっており、江戸時代の華やかな文化や民間信仰に対するイマジネーションを喚起することは、ここに住むであろう住人にとっても意味を持っており、日々の生活への新たな視点を付与することであろう。置かれる場所の物理的な特性に留まらずゲニウス・ロキを作品に取り込むアイデアは、他の応募作品には無かったもので、その意欲を高く評価したい。
実現に向けた技法や素材についての説明がやや不足しており、作品自体が持つインパクトや完成度についてはリアルな確信が持てなかったため今回は入選に留まったが、今後の展開を期待する。

(森 千花)                         

【審査員コメント】
見えにくいものを拡大視するための医療用・工業用の‘検査鏡’。このあまり注目されることのない素材に目を付け、大量に用いてインスタレーションする発想が面白い。
プライヴェートからパブリックへの切り替えが必要とされるエントランスという場所に、鏡という自己確認するツールを素材として持ち込むことで、住民が自然に作品に関与していく構造を周到に作り出していることも評価できる。実際に置いた場合、この鏡のサイズが適性なのかどうかは検討の余地があり、例えばサイズ違いを組み合わせる、照明を採り入れて光と影のイリュージョンを付加するなど、さらに工夫を重ねることにより、作品としての存在感や華やかさを増すことができる伸びしろの大きなプランだと思う。

(森 千花) 

 

「for life」


「SPIRAL」

 金保 洋
 金沢美術工芸大学 美術工芸学部 工芸科 漆・木工コース 4年
 素材:漆、麻布、顔料  想定重量:5kg
サイズ:横幅2000×高さ500×奥行き250(mm)
台座高さ:1200mm

    若松 荘平
    愛知県立芸術大学大学院 美術研究科 彫刻領域
    素材:石   想定重量:90kg
    サイズ:横幅1000×高さ1000×奥行き20(mm)
    台座高さ:300mm

【審査員コメント】
伝統的な乾漆技法による新たな造形探究の試みである。
過去の作品を見ると、具体的なイメージだったり、はっきりと特定はできないが、
何がしかのイメージを喚起する有機的な形態に、カラフルな彩色が施されている。
その彩色は漆によるものだが、伝統色からかけ離れた、ポップなものだ。
それは若者らしい新たな挑戦といってもよい。
今回のプランは、それらに比べるとより抽象性が高く、横に長く伸びた半紡錘形の量塊を棚状に壁に据え付けるというものだ。
中空のニッチュに浮遊するような趣すらある。
新しさを感じさせる造形だが、難を言えば、中央がぼってりと膨らんだ形状で、ややシャープさに欠ける。
色彩ももう少し整理して、クールでメタリックな色調で統一すると、より尖鋭な表現になったのではないか。
 (塩田 純一)


【審査員コメント】
 このマンションのエントランス空間に、黒御影石の円環の彫刻作品がドーンとあったら確かにある種、壮観かもしれないと思いました。
ただ、大地のエネルギーの塊である石で二重螺旋構造の輪を形づくり、それがエネルギーを放つというのは、やや分かりやすすぎるというか、面白みが足りないかなと感じました。
(岩渕 貞哉)
 

「double mountains」


 

 荒殿 ゆうか
 東京藝術大学大学院 美術研究科 美術専攻 彫刻研究領域 
 素材:FRP  想定重量:15kg
 サイズ:横幅2400×高さ900×奥行き800(mm)
 台座高さ:600mm

 


【審査員コメント】
遠目に山のように見える形態が、実はひとの顔のプロフィールでもあるという趣向の作品である。
ヘンリー・ムーアの横たわる人体のモチーフが、実はイングランドのなだらかな山容の丘陵に由来するというのはよく知られたエピソードだ。
それは自然と人体の照応という点で、彫刻の本質を物語るものでもある。
そのことを意識したかどうか、さだかではないが、自然の爽やかな風が吹き抜けていくような心地よさを感じた。
素材の白さ、そして頭部をあえてスリムに成形している点、しかも、手前と奥に少しずらしてふたつの頭部を配することで、
山が重なり合うような奥行きをつくりだしている点など、過度のボリューム感を持たせない工夫もなされている。
設置される場の特異性をよく考えた提案であった。
但し、過去の作品を見ると陶を用いている。今回陶ではなくFRPを使用する理由について、何らかの説明が欲しいところである。
(塩田 純一)



応募について


62作品(2013年:56作品)
応募者数:54名(2013年:53名)
23.4歳(最年少18歳・最年長37歳)

■ 男女データ


■ 学年データ

   学年        人数  
1年 2
2年 8
3年 2
4年 9
大学院  31
研究生 2

■ 都道府県/年齢データ

都道府県 人数 都道府県 人数
東京都 22 茨城県 1
石川県 4 沖縄県 1
愛知県 3 滋賀県 1
大阪府 3 静岡県 1
神奈川県 3 富山県 1
京都府 2 兵庫県 1
群馬県 2 福島県 1
千葉県 2 北海道 1
福岡県 2 山形県 1

 ■ 学校別データ(全30校)

校名 人数 学校名 人数 学校名 人数
武蔵野美術大学 10 沖縄県芸術大学 1 静岡大学 1
東京藝術大学 5 尾道市立大学 1 東北芸術工科大学 1
東京藝術大学大学院 4 金沢美術工芸大学大学院 1 富山大学 1
金沢美術工芸大学 3 九州産業大学 1 豊橋技術科学大学 1
多摩美術大学 3 京都工芸繊維大学 1 日本大学 1
愛知県立芸術大学 2 京都市立芸術大学 1 福岡教育大学大学院 1
成安造形大学 2 群馬大学 1 福島大学大学院 1
女子美術大学 2 工学院大学大学院 1 文化学園大学 1
広島市立大学 2 神戸芸術工科大学 1 北海道教育大学大学院 1
大阪教育大学大学院 1 神戸大学大学院 1 前橋工科大学 1

■ 専攻分野データ
彫刻・立体アート 18名、工芸(鍛金、漆等) 9名、建築 6名、デザイン 5名、美術 4名、美術教育 3名、絵画 2名、
テキスタイル・服飾 3名、空間演出 1名、その他 2名

                        

一次審査について


募集 マンションの共用空間に展示するための立体アート作品
設置場所 「(仮)新御徒町Ⅱプロジェクト」マンションのエントランスホール(東京都台東区)
分野 立体アート(彫刻、レリーフ等も含む立体作品)
材質 石・鉄・FRP等、長期展示に耐えうる素材
形状 展示場所にアンカー等で固定できる形状(居住者にとって安全で、且つ壊れにくいことが必須条件)
作品サイズ 展示スペースに収まる寸法で、重量約kg以下
展示スペース 幅2400×高さ2300 ×奥行き800(単位:mm)
補助金 第一次審査を通過した優秀賞入賞者には、それぞれ「20万円」を支給(搬出入費・遠方の方の宿泊費等は別途支給)

・氏名、性別、学校、受賞歴などのプロフィールについて、完全に伏せた上での審査
・判断材料はA4サイズのプレゼンシート2枚
プレゼンシート1:スケッチ・マケット写真など
プレゼンシート2:タイトル、素材、サイズ、重量、コンセプト、イメージに近い既存作品や過去の自分の作品写真
塩田 純一 (新潟市美術館館長、美術評論家)
岩渕 貞哉 (『美術手帖』編集長)
森  千花    (東京都現代美術館 学芸員)
服部 信治 (主催会社 代表取締役社長)